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胆石・総胆管結石

胆石は何ミリで危険?
検診や腹部エコーで胆石があると言われた方へ

胆石は何ミリで危険?検診や腹部エコーで胆石があると言われた方へ「胆石」とは、肝臓で作られる胆汁中の成分が結晶化したものです。検診で「胆石」がある、といわれた場合は、「胆嚢結石」を指していることが多いです。胆嚢結石が見つかった方の全員で症状が出現するわけではなく、長期に経過を見たところ、平均8.7年の観察で、症状が出たのは2割、という研究もあります。ですから、「胆石がある」と言われた方に一律に治療が勧められる訳ではありませんし、過剰に心配する必要はありません。ただし、一部の方では胆嚢炎や胆管炎などの感染症を起こしますし、胆嚢結石の経過観察中に胆嚢がんが見つかることもありますので、全く注意が要らない、というわけではありません。
少なくとも経過観察はした方がよいと思われますし、症状があった方は治療(胆嚢摘出術)も検討して頂く必要があります。もしも胆嚢ではなく胆管で見つかった「胆管結石」であった場合は胆管炎や膵炎のリスクがありますので治療を受けることをお勧めします。
一律に何ミリで危険、ということは言われていません。ただし大きくなれば胆嚢の出口(胆嚢管)や胆管で詰まりやすくなると思われますし、エコー(腹部超音波検査)で胆嚢の壁の評価(腫瘍の有無などの)が難しくなることがあります。症状があるかどうか、腫瘍が疑われるか、などにより治療が勧められる場合があります。

胆石症について

「胆石症」とは、胆嚢や胆管で胆石が生じたもので、場合により強い腹痛などの症状を引き起こす病気です。

胆石はできる部位によって名前が異なる?!

胆石ができる部位によって、その名称は異なります。

胆嚢結石

胆嚢にできる結石です。
出口で詰まると、みぞおちから右のあばら骨の下(右季肋部)の激しい腹痛が引き起こされます。この状態を「胆石発作」ともいいます。胆石が詰まった状態が長く続くと、細菌感染や急性胆嚢炎を発症します。その場合には、腹痛に加えて発熱などの症状も見られます。

総胆管結石

胆嚢から出ている管と肝臓から出ている胆管が合流する「総胆管」に胆石が落下した状態です。
みぞおちの激しい痛み、発熱、黄疸などの症状を伴います。
急性胆管炎や、急性膵炎を引き起こす原因にもなります。見つかった場合には治療を受けることをお勧めします。一般的には高次医療機関で入院して、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)と言われる治療法を行います。

肝内結石

肝臓内にある「胆管」で生じる結石です。頻度は高くありません。
腹痛、発熱などの症状が見られます。また、肝内胆管がんの原因になることがあります。

胆嚢の働き

胆嚢は、主に肝臓で作られる胆汁をためておく働きを担っています。胆汁は消化液であり、食事をした際に胆嚢が収縮する(しぼられる)ことによって胆嚢から胆管を通って十二指腸まで排出され、食事と混ざります。このように収縮と拡張を繰り返しながら胆汁を送り出し、脂肪の乳化、タンパク質の分解を助けています。

胆石症の症状

胆石症の症状

胆石症の代表的な症状は、みぞおちや右あばら骨の下あたりの強い痛みですが、それ以外にもいくつかの症状が見られます。

またこれらの症状は、脂肪分の多い食事をした後に現れることが多くなります。

  • みぞおちの強い痛み
  • 吐き気、嘔吐
  • 食欲不振

胆石の成分

胆石は、その種類によって成分が異なります。

コレステロール系結石

主成分はコレステロールです。胆汁中のコレステロールが増えすぎることで溶け切らず、結晶化します。胆嚢結石でよく見られます。

純コレステロール石

割ってみると、放射状のコレステロール結晶が認められます。

混成石

割ってみると、放射状構造と層構造が混在しています。
通常、複数個見つかります。

混合石

主成分であるコレステロールに加え、ビリルビンや石灰が混ざっています。

胆汁色素(ビリルビン)系結石

ビリルビン石灰(カルシウム)石

主成分は、ビリルビンと石灰です。胆汁の流れが低下したことで、ビリルビンや石灰などが沈殿し、結晶化します。

黒色石

主成分は、ビリルビンとたんぱく質です。真っ黒で、小さなものが数個~数十個見つかります。

胆石症の原因・なりやすい方の特徴

胆石症の原因は、はっきりしたことについては解明されていませんが、危険因子は、カロリー・動物性脂肪の過剰摂取、脂質異常症、経口避妊薬、肥満、急激な体重減少などが指摘されています。一方、リスクを下げると期待されているものには、運動、ウルソ(内服薬)、脂質異常症の治療薬、野菜、魚油、コーヒーなどがあります。過去には女性がなりやすいと言われていましたが、近年ではむしろ男性の方が多いというデータもあるようです。

また、以下のような方は、そうでない方と比べると胆石症のリスクが高くなるものと考えられます。

40歳以上の方

胆石症は、年齢とともに発症率が高くなります。特に40歳を境に、胆石症になる人が増え始めます。

太っている方

肥満は、胆嚢の働き、胆汁の排出を阻害するため、胆石ができやすいと言われています。

急激に体重が減った方

無理なダイエットなどによって急激に体重が減ると、胆汁の成分のバランスが乱れ、胆石ができやすくなると言われています。

脂質異常症の方

血液中のコレステロール、脂質の値が高い人は、胆石症のリスクが高くなります。

経口避妊薬を使用している方やホルモン補充療法を受けている方

ピルの服用、妊娠などによる女性ホルモンのバランスの乱れなども胆石に影響すると言われています。

糖尿病の方

慢性的な高血糖は、胆汁の産生、胆嚢の機能などに悪影響を及ぼし、胆石症のリスクを高めます。

胆石症の検査

腹部超音波検査(腹部エコー)

胆石症の可能性がある場合、もっとも有効となる検査です。簡便かつ低侵襲(体への負担が少ない)なので、最もよく行われる検査です。

血液検査

血液検査血液検査を併用し、炎症や黄疸、他の病気の有無などを調べます。

MRI検査

放射線を使用せず、体への害がない検査で、肥満等で腹部エコーでは見えにくい場合にも有効です。胆管や膵臓を検査するのも得意です。必要な場合には当クリニックから日本赤十字社和歌山医療センターなど外部の機関に依頼することが可能です。

CT検査

場合により必要となります。放射線被曝があるのはデメリットですが、腹部臓器の全体像が見やすく、胆嚢と周囲の臓器の関係なども分かりやすいというメリットがあります。必要時には日本赤十字社和歌山医療センターなど外部の機関と連携します。

胆石症の治療

痛みなどの症状がない場合は、経過観察を行います。ウルソなどの内服薬を使用することもあります。
強い腹痛や発熱などの症状がある場合には、手術を検討します。胆嚢の摘出が必要になります。胆嚢の炎症が強い場合にはまず体の外から胆嚢内に膿を出すチューブを留置することがあります。
胆嚢摘出を行う場合は、以前は開腹手術が必要でしたが、現在では腹腔鏡手術が一般的になっています。傷口は小さく、患者さんのご負担が軽減されます。

胆石症の予防の食事や注意点

食生活の見直し

胆石症の予防の食事や注意点まずは3食をできるだけ決まった時間に摂ること、朝食を抜いたりしないこと、食べ過ぎ・飲み過ぎを避けること等、正しい食生活を取り戻しましょう。
またこれらを実現するためには、起床時間・就寝時間をできるだけ一定にすること、ストレスをうまく発散することなども大切になります。
食事の内容については、特に以下のようなことを意識してください。

積極的に摂っていただきたいもの

便秘の解消やコレステロールの減少に役立つ食物繊維を含む野菜・海藻・果物が不足している人は、積極的に食事に取り入れましょう。
青魚などに多く含まれるDHA・EPAは、特にコレステロールを下げるのに有効です。

摂り過ぎないよう注意が必要なもの

卵、肉・魚の内臓、天ぷら、うなぎ、豚バラなど、コレステロールや脂肪の多い食品は、摂り過ぎないように注意してください。

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